ビジネスホテルプリンスは四国の香川県高松市にある出張滞在や観光の拠点として好評いただいているファミリー経営のホテルです。

All About「日本の宿」2001年掲載集

井門隆夫リポート < 戻る


志の高い日本の宿、6つのポイント 理想の旅館・私論

2001年 04月 27日

【その1】玄関に旅行代理店の看板を並べていない。

旅行がまだ非日常だった昭和の時代には、旅行代理店の契約数や政府登録観光旅館の看板が信用力になり、利用者は安心して予約し、銀行も旅館に金を貸してくれました。しかし、いまや「リピーターがどれだけ多いか」で旅館の価値が測られる時代。いまだに看板商売をしている宿は「良い宿」への第一関門で立ち止まっているような気がします。たとえ代理店と契約していたとしても、あえて表には出さない宿がおすすめです。

【その2】「室料」を明示している。

旅館の部屋には「宿泊約款」という冊子が必ず置いてあります。これは利用者との契約内容が記されているのですが、多くの宿(モデル約款採用旅館)では「宿泊料金=室料+夕・朝食料」と表示してあります。つまり、ホテルと同様、旅館にも「室料」があるはずなのですが、実際には、すべて「一人当り料金」がスタンダードになっています。これは、江戸時代の「旅籠」の相部屋制と同様、和室に詰め込み、室料以上の総額をもらった方が儲かるという理由もあるからです。室料を採用し、食事料金との組み合わせで料金が決まるようにすれば、旅館の料金が明快になるはずなのですが・・・。約款を無視して曖昧な料金を続けている限り、消費者は公共の宿など明快な料金表示をしている宿へ流れてしまいます。旅館の方はこの事実に早く気づいて欲しいものです。

【その3】大浴場には源泉を流している。

湯量の少ない温泉地には大変恐縮なのですが、湯を循環せず、源泉流しっぱなしにしている温泉旅館はこれから強いと思います。源泉こそ温泉ですからネ。
源泉と見極めるには・・・「浴槽いっぱいにお湯がたまっているかどうか。お湯を観察すると温泉成分の浮遊物があるかどうか。飲泉ができるかどうか(泉質による)。ジャクジーなど付いていないかどうか。お湯は出ていてもちょろちょろかどうか。」・・・Yesなら源泉ですが、Noなら循環湯(循環・殺菌して同じお湯を使っている)です。もちろん、循環湯ならちゃんと循環させている(湯口からダポダポお湯が出ている)限り清潔ですが、やはり温泉の効能は若干薄められてしまうのは仕方ありません。

【その4】料理の温度管理をきちんとしている。

「天麩羅がアツアツで出てくる」---天麩羅を暖かく出すには食べる直前にフライヤーで揚げなくてはいけないので、これができている宿は一発及第点です。でも、多少冷めていても許してください。
煮物はどうでしょう。中身はもとよりお椀までアツアツの場合も多いと思います。それは温蔵庫に入れていたから。お造りはどうでしょう。お皿もついでに冷えているのではないでしょうか。それは冷蔵庫に入れていたから。
旅館ではなかなか作ってその場で出すことが難しいので、こうした調理器具を使っています。しかし、何も温度管理していない宿(みんな冷めてしまい、お造りは生温い)はちょっとおすすめできません。逆に、お椀やお皿は何でもないのに、ちょうどいい温度の料理が盛られていたら、それは出来たてを提供している本当に一生懸命な旅館です。

【その5】食事が食べきれる。

これは私たち消費者もいけないのですが、旅館の食事がどんどん多量になっていきました。そして旬のもの、地のものが消え、業界では「赤物」と呼ばれる「エビ・カニ・マグロ・牛肉」で埋め尽くされた没個性な食事が「旅館料理」と称されるようになってしまいました。海外のホテルの朝食ブッフェで、食べきれない量の料理を盛って冷たい視線を浴びていた私たちが今反省すべきは、「もう量を求めない」ということでしょう。5月から「食品リサイクル法」が施行され、過度な生ゴミを出す業者は罰せられ、環境に優しい旅館が求めらるようになりました。そう、これからは「食事が食べきれる旅館」が良い旅館ということができるでしょう。

【その6】朝、無理矢理起こさない。冷蔵庫がガチャンと閉まらない。

私は小梅が嫌いです。なぜなら、頼まないのに「おはようございます。お茶と小梅をお持ちしました」と朝早く起こされることが度々あるからです。もちろん、勤務の都合もあり、起きて出て行って欲しい気持ちもわかります。しかし、たまには休みたいのです。どうか朝早く起こさない方法を考えてください。目覚まし代わりに、自動カウント冷蔵庫がガチャンと音を立てて閉まるのも最悪です。その中には、冷蔵庫が高いので自動販売機で買っておいたジュースが入っていることもありますしね。旅館の都合を押し付けることはサービスでも何でもないのです。

【理想の旅館:実例】有馬温泉「花小宿」

● 古びた木造9室の小さな和風旅館で、リピーターであふれています。
● 和室ながらベッドを使ったツイン仕様になっていて、ルームチャージ制です。
● お風呂は各部屋で交替制の小さなものですが、有馬特有の金泉と銀泉の源泉です。
● 夕食・朝食はお好みで「料膳 旬重」でいただけます。ご飯はかまどで炊き、焼物はオープンキッチンの炭火で焼いてくれます。
● チェックアウトは12時です。
● 残念でもありますが、子どもは受け入れていません。大人のための宿です。

宿泊予約サイトの見分け方

2001年 02月 15日

インターネットでの旅館ホテルの予約サービスを使ったことがありますか。ひと昔前までは「旅の窓口」や「「ISIZE」などいくつかのサイトだけでしたが、いまでは百花繚乱。どのサイトが便利なのか、予約サービスの見極めかたについてお教えします。
 
まず第一に、空室情報が見られるかどうか。空室状況の見られるサイトは、JTBや近畿日本ツーリストなど旅行会社と同じように、旅館から客室を預けてもらっているのです。空室状況のみられないサイトは、その都度メールで予約のやり取りをするため時間がかかり、若干不便かもしれません。旅館が客室を預けるためには「ある程度売れる」と思われなくてはなりませんので、空室状況が見られる会社は「そこそこユーザーに使われている」サイトと言えるでしょう。
 
さらに、一日当たり何室予約ができるかが、そのサイトの力量だと思われます。もっとも多いのは「一日1室」。これでは、誰かが予約したら終わり、です。もっとも客室ブロックが多いのは、JTBとJTBが提供しているYahooトラベルで、「もっとも予約が取りやすい」と言えるでしょう。しかし、売れるチャネルには旅館の支払う手数料も高いのが世の常。できれば、「新しいチャネル」で売れてくれる方が有り難い、といえる裏事情もあるのです。1月からは、客室を旅館からまとめれ仕入れ、様々な予約サイトに提供するBtoBの新サービス(ルームバンク)も開始されるので、一日1室しか予約できないサイトは少なくなり、これからはもっと予約サービスが使いやすくなっていくと思います。
 
次に、旅館のラインナップ。多いところは、それだけ旅館に信頼されていると言えます。「宿上手」や「日本ゆったり倶楽部」や「e-Ryokan」が参加旅館数の多いサイトといえますが、これらは全て主宰者が旅館関係者。宿上手は全国旅館組合連合会がバックに、日本ゆったり倶楽部は信州の横谷温泉旅館が、e-Ryokanは同じく信州鹿教湯の斎藤旅館が声を掛け始めましたので、同業の旅館の信頼を得やすかったのだと思います。
 
しかし、こうした宿泊予約サービスの問題点もあります。例えば、「流通」機能に重きをおきすぎているので、「情報」がまだまだ足りないということ。パンフレットや旅行会社にない情報を求めているのに、同じではがっかりです(画像ばかり重かったりネ)。これでは、電話の代わりにしかなりません。
 
あるいは、「サービスは価格によって変わる」という事実を示していないこと。旅館料金は、部屋と食事の組み合わせによって変わります。安くなるのは、曜日やシーズンだからなのか、それとも内容を落とすからなのか。そのため、大切な旅行なら、事前にメールで確認するくらいの念押しが必要なのです。安かろう悪かろうをつかまされないように。
 
ガイドの井門は、わかりやすい旅館料金制度を旅館業界に投げかけていきますので、皆さんからのご意見もお待ちしております。

宿泊予約サイト乱立のゆくえ

2001年 02月 15日

楽天がオンライン予約に参入!

楽天が、いよいよ3月から「楽天トラベル」の名称で、旅館のオンライン予約に参入します。現在も、1万円ポッキリプランでお馴染みの「名湯宿泊券」を扱う毎日コムネットが楽天には出店していますが、これから楽天みずから「旅の窓口」の独走を追撃することになったようです。

旅の窓口は独走するのか!

いまや登録会員数がウナギのぼりの「旅の窓口」。サービスは、他のオンライン予約サイトとさほど変わりませんが、リピーターが増え続け、独走の態勢に入ろうとしています。皆さんご存知のない「旅館側管理画面」でも、「あなたの旅館は何番目に売れていますよ」という全国販売順位が表示されるので、客室をもっと登録すれば売れるような気を旅館に起こさせています。

予約サイト生き残りのカギは?

インターネットでの旅館オンライン予約サイト、生き残りのカギは2つあります。
第1は、会員数。第2は、登録(販売可能)客室数。そのために「ユーザーの会員化」と「旅館の囲い込み」を両方できた者が勝ち残ります。前者で強いのは「楽天」「旅の窓口」。後者においては、既存旅行会社や「ISIZE」。しかし、「楽天」は、旅館の囲い込みのために、販売手数料を3.7%と、旅行会社の約4分の1、旅の窓口など既存予約サイトの約2分の1の低手数料で攻勢をかけ始めます。いよいよ楽天の時代が来るのか、利用者としても注目していたいところです。

オンライン予約サイトは増えつづけるのか!

楽天の参入で、予約サイトの生き残りも企業体力勝負になってきました。莫大なシステム投資のうえ、会員数を伸ばすための販促費、旅館に客室登録をお願いする営業費の続くところが勝つことになるのでしょう。まだ、脱落者はいないようですが、これから体力のなくなったサイトから脱落が予想されます。成長の「旅の窓口」、会員数・低手数料の「楽天」、販促力・営業力の強い「ISIZE」が当面の三羽がらすになるような気がします。
しかし、旅館業界も、あまりの乱立にへきえきしており、かなり慎重になっているうえ、自力で伸びようとしています。全国旅館生活衛生同業組合(全旅連)の応援する「宿上手」は老舗ですが、その「宿上手」を運営するトランスネットは、旅館が客室提供を一度に行えば、その仕組みに参加するサイト共通で使えるような仕組み「ルームバンク」を構築、参加サイトを広く呼び掛けています。旅館側は、この仕組みに応じたサイトを応援するようで、三羽がらすに続くサイトの生き残りは、ルームバンクに参加するかどうかにかかっているようです。

既存旅行会社は眠っているのか!

では、旅館と販売業者の日常のつながりで言えば、圧倒的に強いJTBなど旅行会社はどう出るのでしょうか。
近畿日本ツーリストと日本旅行の合併も発表されましたが、今後ネット販売にシフトしていかなくてはならないのは明らかだと思っています。しかし、ネット販売に比べ、店頭販売や法人販売の比率がかなり高いのと、大量の客室デポジットを確保しているので、まだまだ余裕で戦況を眺めているのが本音でしょう。こうした旅行会社が重い腰をあげれば、消費者の選択肢が一層増えるのですが、「過去の成功体験」を払拭できるかがカギではないでしょうか。

2001年、逆オークションがブレイクするのか!

旅館・ホテルは、サービスを貯めておけないので、消費者が希望価格を指し値で示す「逆オークション」がやりやすい分野。Yahoo Japanが米国最大の逆オークション会社プライスラインとの提携を一時発表しましたが破談になり、今度は同様のマッチングシステムを持つJ-yadoに資本参加しました。オークションの得意な楽天の参入もあり、今年は本格的に逆オークションが始まる予感がします。
ただし!モノと違ってサービスは「価格が変われば内容も変わる」性質があります。価格を下げたら、内容も変わることがあるという事実をよく認識され、逆オークションに参加することをおすすめします。オフシーズンの平日なら大丈夫でしょうが、土曜日やオンシーズンなどの希望を出しても、取れて「一番安い部屋と安い食事」は覚悟して行くしかないかもしれません。
旅館の逆オークションがブレイクした場合、利用者の満足度もブレイクしてしまう可能性も秘めているのです。

さて、いったい旅館はインターネットで取った方がお得なのか。それも、旅の窓口のような予約サイトと、旅館のホームページで取るのとでは違うのか。あるいは、旅行会社の商品の方がお得なのか。
「いったいぜんたい、旅館って、料金の法則もよくわからないし、予約のしかたも迷ってしまう」という感想を抱いている方も少なくないと思います。そのためにも、このサイトの「Close Up」や「ニュースレター」で、お宿の賢い予約のしかた・泊まり方をお伝えしていきますね。

powered by HAIK 7.6.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional