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All About「日本の宿」2002年掲載集

井門隆夫リポート < 戻る


GW宿泊予約攻略法

2002年 03月 29日

いよいよGWが近づいてきましたね。

今年のGWは並びからすると中3日平日が入っているので、海外旅行組は減るパターンの“典型的国内旅行型”です。海外情勢が不安定なこともあり、国内旅行に人気が傾くと思われます。

そしてこれは例年同じ傾向ですが、宿泊需要はまず5月3日と4日に集中します。もう、どこもかしこも3・4日の宿泊はギューギュー、道路はめちゃ混みでしょう。特に今年は、景気のせいもあり日帰り需要も多いと思われ、これまた3・4・5日に集中するでしょうから、今年のGWは集中型と予想できます。

GW前半である4月後半はまだ取りやすいのですが、GWまで2週間を切るころにはドッと27・28日はじめ、29日あたりも埋まり始めます。29日などは「平日料金」ですからお買い得!という理由もあるでしょう。

まず、第一にGWの宿泊予約は“前半の方がまだ取れやすい”ということが言えます。

では、今から取れるGWの宿を探してみましょう。

■ISIZEじゃらん
■Yahoo! Travel GWに泊まれる宿
■旅の窓口

特に、JTBのコンピュータと直結しているYahoo! Travelが、一番「格納客室数」は多いみたいです。ただ、取れること請け合いと言いたいところですが、旅行会社系のサイトの場合、客室総量は多いのですが、休前日や特日(GWなど売れる日)は自社や提携販売店の主催旅行商品(いわゆるパッケージ商品)に使ってしまっていて、売れ筋の宿は最初から売り切れ、なんてこともあるようです。

でも、それでもタイミングがあります。最初のタイミングは宿泊の21日前。5月3日なら4月12日に当ります。なぜ?って、21日前は主催旅行商品の“手仕舞い日”。この日から主催旅行に関して取消料がかかるために、前日までにコンピュータから仕入れていて売れ切れなさそうな客室を企画担当者や提携販売店が戻してくるのです。

そのため、21日前の朝チェックすると部屋が戻っていることがあるのです。でもこのタイミングは既に過ぎてしまったとします。21日前を過ぎると、それまで動かなかった予約がドッと動き、ほぼ予約内容が確定してしまうので、これからはなかなか宿は出てきません。でもまだ少し売り切れていない宿が残っています。掘り出し物もあるはずですので、チェックしてみてください。

第2のタイミングは3日前。これが最後の砦。3日前からは旅館側が取消料対象とするので、「仮押さえ」をしていた人たちや旅行会社が、宿泊4日前に一斉に手放す(仮押さえを取り消す)のです。この日の朝、売り切れていればそのまま部屋は出てこないと思います。

Yahoo! Travelや他の旅行会社サイトの攻略タイミングは、21日前と3日前なのです(それでも取れなかったらごめんなさい!)。

ところで、各旅館のサイトではGW予約受けていないのでしょうか? ある旅館の方の回答は「GWの予約を電話で受けると、お断りするのが大変で、お得意様を除きGWは旅行会社に任せています」とのこと。

うーん、早くマイステディの宿をみつけたいところですね。

しかし、いよいよ近くなってくると仮押さえ分などのキャンセルが出たり、代理店から戻ってきたり、予約が動き始めます。21日前~3日前までの間がその予約の調整期間に当ります。このときばかりは宿のほうも、一部屋でも無駄にしないように直接予約も受けるようになってくるのです。

さぁ、今こそ各旅館へ当たってみるチャンスですね。

宿への電話やメールの出し方によってもOKの可能性が変わってくることもあります。このへんのアドバイスを続・GW宿泊予約攻略法でご紹介しましょう。

安くなるにはワケがある! 旅館が安くなる理由

2002年 01月 21日

デフレ経済が進行し、旅館の料金もどんどん安くなっています。ネット上では「通常より格安」とのうたい文句で安売りされることもあり、利用者としては歓迎すべきことなのですが、旅館の値段が安くなるのには目に見えない理由があります。安くなったといって内容を変えて安くする場合もありますので、ご注意を!

【安くなる理由 1】部屋と食事のランクを落とす

旅館とは、複数の「客室タイプ」と複数の「食事ランク」を組合わせた商品と思ってください。電話での予約交渉で「山側のお部屋ならあります」というように複数の料金の違う客室があるのはおわかりかと思うのですが、知られていないのは食事にもランクがあること。規模が大きくなればなるほどランクも多く、団体・ツアーなども入る宿では7~8種類あり、松竹梅やABCでランク分けされています。しかし、この食事ランクは一般人では選べません。このランクは実は「旅行会社からの送客対策」。

旅行会社はよく、他社よりも安くという競争において旅館に値下げを求めます。その際、例えば「平日だけ」とか「オフシーズンに限って」ということであれば内容を下げずに対応できる旅館も、「通年・土曜日も含めて安く」と言われた場合、販売増が見込める場合を除き「客室タイプと食事ランク」を落として対応します。
さらに、多くの場合この事実を旅行会社ですら知らないのです(もしくは黙認?)。
しかるに、「何と!名旅館が土曜日もこの価格!」などという宣伝文句の旅行商品は、客室も食事も「通常より落とされている」ことを覚悟のうえで買ったほうが無難です。これはネットでも同じ。ECサイトのほとんど全てが、販売手数料をもらっているいわゆる旅行会社ですから。むしろ、「平日や間際販売だから安い」と安くなる理由をうたっているサイト(クラブトクーなど)のほうが安心できるかも。

■提 言  旅行会社の方へ
これ以上価格を下げたら売れるのですか? これが旅館側の疑問です。今まで以上売っていただけるのなら内容を落とさず、もっと価格も下げられます。でも、もう土曜日は充分満館です。これ以上安くするのなら、あとは平日を売ってください。売れない日も企画力で販売するのがプロですよね。これ以上販売を伴わない値下げは、内容を落として価格を下げることになり、その情報を伝えていないとすれば詐欺になってしまいますよ!気をつけて。

【安くなる理由 2】平日対策

旅館料金は土曜日・祝前日やオンシーズンに高くなり困りものですね。
でも、旅館は、平日や閑散期を「割引き」しているつもりなんです。
旅館の売上はどんどん落ち込んでいるようですが、相変わらず土曜日・祝前日はどこも「満館」!
その代わり、平日は「がらがら」なのです。そのため、規模の大きい旅館ほど平日を安くしているのですが、料金説明を詳しくしていないのと、まだまだ平日割引が魅力的な域まで達しないせいか、お客さんを呼ぶまでには至っていないようです。

昔は、平日でも接待やゴルフなどの企業需要がありました。旅行会社も団体客を送ってくれました。でも、いまや時間のある熟年層や賢い女性グループ、貸切風呂などをゆっくり使いたいカップルなどがちらほらするだけ。利用者アンケートでも平日の利用者の方が高満足度になるのも明らかなんですけど・・・

平日にもう少しお客さんが入ってくれれば、もっと安くすることができるでしょう。それでも、他人にはそう言えても自分のことになると「休みたいけど休めない」のが日本の事情。そこで、世界一多い祝日の制定、祝日の月曜日化、そして公立学校・幼稚園の完全週休2日制(4月から)のように、「料金の高い曜日」を多くする策を取るしか方法がないようです。

■提 言  日本の宿利用者の皆さんへ
これからますます土曜日・祝前日の予約は取りづらく、料金もあまり下がっていかないと思います。この背景には、旅館も社員がいる限り平日閉めるわけにはいかないという事情もあります。そのため、どうしても土曜日しか休めない方は、民宿やホテルなど幅広く宿を選ぶか、早めの予約で対処してください。ベストはただでさえ安い平日に、平日割引などある宿を見つけて泊まることですね。
有給休暇は労働者の当然の権利。賢く使って日本の宿を満喫しましょう!

【安くなる理由 3】一部屋当たり人数

(ホントはもっと安くなるはずなんだけど)

旅館料金というのは、一部屋当たりの宿泊人数が増えれば安くなっていくのはお分かりのことと思います。旅館とは「客室」と「食事」の組合わせで料金が決まっています。そのため、人数が増えれば増えるほど「客室」見合の料金がワリカンで安くなっていくわけですね。でも、厳密に「室料がいくら、食事料がいくら」と決めている旅館は皆無に近く、だいたいがドンブリ勘定、経験値で「こんなものかな」と決めているのです。

厳密に室料や食事料を決め、利用者に選んでもらえば、とても合理的かつ誤解も生まず良いと思うのですが、それを出来ない事情があるのです。それは「一部屋に多人数入れば、より儲かる」料金で今落ち着いているから。すなわち、4~5人入ったらもっと安くなってもいいのです。室料と食事料を分けたなら、家族旅行など4~5人で一室というケースはもっともっと安くできるでしょうね。でも、何故それができないのか!

それは、もちろん「4~5人入ってくれた時の儲けがなくなるから」という本当の理由のほか、言い訳に使われるのは「2人一室料金が4~5人一室に比べ高く見えてしまう」という理由。

2人で贅沢に一部屋を使うなら、4人で泊まるよりワリカンの室料が高くなるのは当たり前です。でも、4人一室の「家族は土曜日しか来ない」けど、2人一室の「熟年夫婦やカップルは平日にも来てくれる」お得意様。そのため、平日に来てくれるお得意様の料金を「高く見せる」ことはできないという旅館側の言い訳があるのです。

そんな言い訳も使いながら、現状の「一部屋に多く入れば安くなると見せかけて、儲けている」状態を維持していると言えるでしょう。
一部屋に入れば入るほど効率が良い料金であるため、土曜日には2人一室を受けなかったり、平日でもひとり旅なんて「極力受けたくない」というホンネが見え隠れしているのはご存じですよね。

■提 言  旅館の方へ
旅館料金ほど「うさんくさく思われている」料金はないことをそろそろ認識されてはどうでしょう。利用者には「隙を見てボッタくるんじゃないか」と怖れられているドンブリ勘定の1泊2食料金のほか、サービス料、子ども料金、施設使用料、取消料、持込料、チップと、利用者側にルールの見えない料金ばかりが揃っています。業界団体の方も、自分たちの役割として、こうした制度改革に取り組まれたらいかがでしょう。まずは、1泊2食料のうち、部屋料・食事料・施設使用料の内訳を明らかにし、料金変動の理由を明示して、誤解を生まない料金制度を作ってください。そのうえで、需要を喚起するような必要な割引をどしどし行ってください。

このコラムを書いた理由は、最近どんどん料金が安くなるのはいいですけど、「内容やサービスが悪い」という苦情もどんどん増えていることをよく聞き、それはほとんどの場合、料金に関する誤解が「期待と結果の差」を生んでいることが主な原因だとわかったからです。

旅館は、シティホテルとは少し違い、人件費や食事原価の割合が高い労働集約型の産業。そのため、価格を下げていくと、サービスを削らなくてはいけないところまでやってきます。それが現在。これ以上、やみくもな値下げを行うと「二度と旅館なんか行かない」という思いを増やす結果になってしまいます。

かといって、高止まりの料金では消費者は動きません。
そこで、明確に「料金とサービスは関連しているのだ」という「業界の事情」を明らかにして欲しいのです。これ以上「見せかけばかりの料金」を打ち出すのはやめ、「安くなるのには理由がある」という事実をディスクロースして欲しいと思います。

そして、ひとり旅でも、誰でも公平に旅館に泊まれる料金制度を整え、消費者が多くの旅館サービス・料金の中から選択できる環境を作っていけば、日本の宿はもっともっと栄えていくのではないでしょうか。

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