藍より青し
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明立大学に通う平凡な大学生花菱薫。だが、実は花菱財閥総裁花菱優二を父に持つ、花菱財閥次期当主となる人間だった。薫の母本条久美と父とは正式な夫婦関係はなく、そのために薫も久美も、周囲からは様々な誹謗中傷を受けてきた。薫が5歳のときに父が他界し、その後は祖父花菱源一郎(優二の父)から花菱家当主になるために、限りなく虐待に近い帝王教育を施されるようになった。
薫はそんな花菱を嫌い、大学入学を機に花菱との縁を切り、花菱家を出て行った。しかし、薫には幼少の頃より薫を心から想ってくれている女性がいた。その名は、桜庭葵。桜庭呉服店(現:さくらデパート)の跡取り娘であり、花菱次期当主となる人間と婚約関係を結んでいた女性である。桜庭家と花菱家は様々な交流があり、葵は幼い頃から薫を慕っていたが、薫は葵の気持ちに気づいていなかった。
ところが、薫が花菱家を出たことで葵と薫の婚約は破棄され、桜庭家では他の縁談が進められていたが、葵は薫への思いを断ち切れず、彼を追って桜庭家を出て行ってしまったのだ。
互いに跡取りの使命を捨てて巡り会った2人だが、一緒に暮らすにはあまりにも困難な状況だった。だが、桜庭呉服店の使用人で葵の後見人神楽崎雅という唯一の理解者を得て、葵と雅は洋館に、薫は洋館の離れ(使用人の住む寮)に住むことになった。やがて、薫が所属する写真部の仲間もこの離れに集まり始め、洋館の離れは彼らのアパートと化してしまった。そのため、雅は洋館の管理人、葵はアパートの大家として振る舞うことになり、薫と葵の関係もスキャンダル防止のため、周囲に伏せたまま日々を過ごすことになる。