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新型インフルエンザの基礎知識

新型インフルエンザについて < 戻る


新型インフルエンザの基礎知識
1.新型インフルエンザの概要
(1)新型インフルエンザの発生
・新型インフルエンザウイルスとは、特に鳥類にのみ感染していた鳥インフルエンザウイルスが、当初は偶発的に人に感染していたものが、遺伝子の変異によって、人の体内で増えることができるように変化し、さらに人から人へと効率よく感染するようになったものである。このウイルスが人に感染して起こる疾患が新型インフルエンザである。

1)新型インフルエンザと通常のインフルエンザの違い
○ 通常のインフルエンザはインフルエンザウイルスに感染して起こる病気で、風邪よりも、比較的急速に悪寒、高熱、筋肉痛、全身倦怠感を発症させるのが特徴である。
○ 新型インフルエンザの症状は未確定であるが、大部分の人が免疫を持っていないため、通常のインフルエンザと比べると爆発的に感染が拡大し、非常に多くの人が罹患することが想定されている。それと同時に肺炎などの合併症を起こし、死亡する可能性も通常のインフルエンザよりも高くなる可能性がある。
○ 毎年流行する通常のインフルエンザは、ある程度人と共存しており、高齢者や既に何らかの病気を持つ者を除き、感染による致死率は0.1%以下である。我が国では1年間に約1,000 万人がインフルエンザに罹患し、約1万人が死亡しているという研究結果もある。

2)過去に流行した新型インフルエンザからの示唆
○ 過去に流行した新型インフルエンザの一つとしてスペイン・インフルエンザ(1918 年-1919 年)がある。全世界で人口の25~30%が発症し、4,000 万人が死亡したと推計されている。当時の記録から、大流行が起こると多くの人が感染し、医療機関は患者であふれ、国民生活や社会機能の維持に必要な人材の確保が困難になるなど、様々な問題が生じることが考えられている。
○ スペイン・インフルエンザでは、世界中の流行に6~9か月の期間を要したと伝えられているが、現代社会では、人口の増加や都市への人口集中、航空機などの交通機関の発達などから、世界のどこで発生しても、より短期間にまん延する可能性が高いと考えられる。
また、スペイン・インフルエンザにおいては3回の流行の波があった。今後、発生が予想される新型インフルエンザも同様に流行の波があり、一つの波が約2か月続き、その後流行の波が2~3回あると考えられている。そのため、一度流行が終わったとしても、次の流行に備えて更なる対策を行う必要がある。

3)新型インフルエンザの発生段階
○ 新型インフルエンザへの対策は、その状況等に応じてとるべき対応が異なることから、あらかじめ状況を想定し、各状況に応じた対応方針を定めておく必要がある。
○ このため、国の行動計画においては、新型インフルエンザが発生する前から国内発生、パンデミックを迎え、小康状態に至るまでを5つの段階に分類して、それぞれの段階に応じた対策等を定めている。この段階の決定については、WHOのフェーズの引上げ及び引下げを注視しながら、外国での発生状況や国内サーベイランスの結果を参考にして新型インフルエンザ対策本部が決定することとされている。
○ なお、5つの段階は、基本的に国における戦略の転換点を念頭に定めたものであるが、都道府県においては、その状況に応じ柔軟に対応する場合もあり得るものである。また、状況により地域ごとの対応が必要となる場合を考慮し、第三段階を3つの時期に小分類されている。国、地方自治体、関係機関等は、行動計画とガイドラインに従った施策を段階に応じて実施することとされている。
【前段階】
未発生期では、発生に備えて体制の整備を行うとともに、国際的な連携の下に発生の早期確認に努めることを目的とする。具体的には、行政機関及び事業者等の事業継続計画の策定、医療提供体制の整備、抗インフルエンザ薬及びプレパンデミックワクチンの備蓄等が行われる。

【第一段階】
海外発生期では、ウイルスの国内侵入をできるだけ阻止するとともに、国内発生に備えて体制の整備が行われる。具体的には、発生国に滞在する在外邦人に対する情報伝達と支援、新型インフルエンザの発生国・地域(以下「発生国」という。)への渡航自粛・航空機運航自粛、発生国からの入国便に対して検疫を実施する空港・港を集約、入国者に対する健康監視・停留等の措置の強化等が行われる。

【第二段階】
国内発生早期では、国内での感染拡大をできる限り抑えるため、患者に対する入院措置(感染症指定医療機関等)、接触者に対する外出自粛要請、発生地域での学校等の臨時休業や集会・外出の自粛要請、感染防止策の徹底の周知等の公衆衛生対策等が実施される。

【第三段階】
感染拡大期/まん延期/回復期では、健康被害を最小限に抑えるとともに、医療機能、社会・経済機能への影響を最小限に抑えることが主な目的となる。感染拡大期は、地域での公衆衛生対策を継続して行うとともに、患者に対し感染症指定医療機関等への入院措置を行う。一方、まん延期は、医療機関における感染の可能性を少なくするため、発症者のうち重症者は入院を受け入れるが、軽症者は原則として自宅療養となる。

【第四段階】
小康期では、社会・経済機能の回復を図り、第三段階までに実施した対策について評価を行い、次の流行の波に備えた対策を検討し、実施する。

○ 人から人への感染の増加が確認され、WHOのフェーズ4が宣言された後は、短時間で感染が拡大し、世界的な流行となる可能性がある。
なお、現時点の鳥インフルエンザ(H5N1)発生国や人での発症事例については、厚生労働省のホームページで公表している。

4)新型インフルエンザの流行による被害想定
○ 新型インフルエンザが流行した際には、全人口の約25%が発症し、医療機関を受診する患者数は最大で2,500 万人になると想定されている。また、過去に流行したアジア・インフルエンザやスペイン・インフルエンザのデータに基づき推計すると、入院患者は53 万人~200 万人、死亡者は17 万人~64 万人となる。また、地域差や業態による差があるものの、従業員本人や家族の発症等により、従業員の最大40%程度が欠勤することも想定される。
しかし、これらはあくまでも過去の流行状況に基づいて推計されたものであり、新型インフルエンザが、どの程度の病原性や感染力を持つかどうかは不明である。人口密度の高い地域においてはより多くの人が感染する可能性もあり、地域差も出ると考えられている。
流行による社会への一般的な影響は次のものが想定される。
・膨大な数の患者と死者
・社会不安による治安の悪化やパニック
・医療従事者の感染による医療サービスの低下
・食料品・生活必需品等、公共サービス(交通・通信・電気・食料・水道など)の提供に従事する人の感染による物資の不足やサービスの停止
・行政サービスの水準低下(行政手続の遅延等)
・日常生活の制限
・事業活動の制限や事業者の倒産
・莫大な経済的損失

(2)インフルエンザウイルスの感染経路
○ 毎年人の間で流行する通常のインフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染であると考えられている。空気感染の可能性は否定できないものの一般的に起きるとする科学的根拠はないため、事業所等においては空気感染を想定した対策よりもむしろ、飛沫感染と接触感染を想定した対策を確実に講ずることが必要であると考えられる。
○ また、ウイルスは細菌とは異なり、口腔内の粘膜や結膜などを通じて生体内に入ることによって、生物の細胞の中でのみ増殖することができる。 環境中(机、ドアノブ、スイッチなど)では状況によって異なるが、数分間から長くても数十時間内に感染力を失うと考えられている。

1)飛沫感染
○ 飛沫感染とは感染した人が咳やくしゃみをすることで排泄する、ウイルスを含む飛沫(5ミクロン以上の水滴)が飛散し、これを健康な人が鼻や口から吸い込み、ウイルスを含んだ飛沫が粘膜に接触することによって感染する経路を指す。
なお、咳やくしゃみ等の飛沫は、空気中で1~2メートル以内しか到達しない。

2)接触感染
○ 接触感染とは、皮膚と粘膜・創の直接的な接触、あるいは中間物を介する間接的な接触による感染経路を指す。
例えば、患者の咳、くしゃみ、鼻水などが付着した手で、机、ドアノブ、スイッチなどを触れた後に、その部位を別の人が触れ、かつその手で自分の眼や口や鼻を触ることによって、ウイルスが媒介される。

(参考)空気感染
空気感染とは、飛沫の水分が蒸発して乾燥し、さらに小さな粒子(5ミクロン以下)である飛沫核となって、空気中を漂い、離れた場所にいる人がこれを吸い込むことによって感染する経路である。飛沫核は空気中に長時間浮遊するため、対策としては特殊な換気システム(陰圧室など)やフィルターが必要になる。

2.基本的な新型インフルエンザ対策
(1)薬剤を用いた新型インフルエンザ対策
○ 国では新型インフルエンザ対策として、新型インフルエンザワクチン、抗インフルエンザウイルス薬を用いた対策を行っている。
○ 新型インフルエンザの発症予防や重症化防止に効果が期待できるワクチンとして、パンデミックワクチンとプレパンデミックワクチンがある。パンデミックワクチンとは、実際に出現した新型インフルエンザウイルスを基に製造されるワクチンである。発症予防や重症化防止の効果があると考えられているが、実際に新型インフルエンザが発生しなければ製造できない。現時点では、新型インフルエンザの発生後、より短期間で製造するための研究開発に取り組んでいる。
○ プレパンデミックワクチンとは、新型インフルエンザウイルスが発生する前に、鳥インフルエンザウイルスを基に製造されるワクチンである。国は現在流行している鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対するワクチンをプレパンデミックワクチン原液として製造、備蓄している。
○ 新型インフルエンザの治療薬としては、毎年流行する通常のインフルエンザの治療に用いられているノイラミニダーゼ阻害薬が有効であると考えられている。ノイラミニダーゼ阻害薬には、経口内服薬のリン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)と経口吸入薬のザナミビル水和物(商品名:リレンザ)があり、国や都道府県で備蓄を行っている。

(2)個人や事業者が実施できる具体的な感染防止策
○ 新型インフルエンザの感染防止策は、一般の人々が普段の生活の中で実施できるものも多い。有効と考えられる感染防止策としては、以下が挙げられる。
・対人距離の保持
・手洗い
・咳エチケット
・職場の清掃・消毒
・定期的なインフルエンザワクチンの接種

1)対人距離の保持
○ 最も重要な感染防止策は、対人距離を保持することである。特に感染者から適切な距離を保つことによって、感染リスクを大幅に低下させることができる。 逆に、人が社会活動を行うことで、感染リスクが高まると言える。
(目的)
・ 咳、くしゃみによる飛沫感染防止策
(効果)
・ 通常、飛沫はある程度の重さがあるため、発した人から1~2メートル以内に落下する。つまり2メートル以上離れている場合は感染するリスクは低下する。
(方法)
・ 感染者の2メートル以内に近づかないことが基本となる。不要不急の外出を避け、不特定多数の者が集まる場には極力行かないよう、業務のあり方や施設の使用方法を検討する。

2)手洗い
○ 手洗いは感染防止策の基本であり、外出からの帰宅後、不特定多数の者が触るような場所を触れた後、頻回に手洗いを実施することが推奨される。
(目的)
・ 本人及び周囲への接触感染の予防
(効果)
・ 流水と石鹸による手洗いは、付着したウイルスを除去し、感染リスクを下げる。また、60~80%の濃度のアルコール製剤に触れることによって、ウイルスは死滅する。
(方法)
・ 感染者が触れる可能性の高い場所の清掃・消毒や患者がいた場所等の清掃・消毒をした際、手袋を外した後に手洗い又は手指衛生を実施する。
・ 手洗いは、流水と石鹸を用いて15 秒以上行うことが望ましい。洗った後は水分を十分に拭き取ることが重要である。速乾性擦式消毒用アルコール製剤(アルコールが60~80%程度含まれている消毒薬)は、アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合わせる。

3)咳エチケット
○ 風邪などで咳やくしゃみがでる時に、他人にうつさないためのエチケットである。
感染者がウイルスを含んだ飛沫を排出して周囲の人に感染させないように、咳エチケットを徹底することが重要である。
(目的)
・ 咳、くしゃみによる飛沫感染防止策
(効果)
・ 咳エチケットによって感染者の排泄する飛沫の拡散を防ぐことができる。
(方法)
・ 咳やくしゃみの際は、ティッシュなどで口と鼻を被い、他の人から顔をそむけ、できる限り1~2メートル以上離れる。 ティッシュなどがない場合は、口を前腕部(袖口)で押さえて、極力飛沫が拡散しないようにする。前腕部で押さえるのは、他の場所に触れることが少ないため、接触感染の機会を低減することができるからである。呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てる。
・ 咳やくしゃみをする際に押さえた手や腕は、その後直ちに洗うべきであるが、接触感染の原因にならないよう、手を洗う前に不必要に周囲に触れないよう注意する。手を洗う場所がないことに備えて、携行できる速乾性擦式消毒用アルコール製剤を用意しておくことが推奨される。
・ 咳をしている人にマスクの着用を積極的に促す。マスクを適切に着用することによって、飛沫の拡散を防ぐことができる。

4)職場の清掃・消毒
(目的)
・ 周囲への接触感染の防止
(効果)
・ 感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻水を手でぬぐった後に、机、ドアノブ、スイッチなどを触れると、その場所にウイルスが付着する。ウイルスの種類や状態にもよるが、飛沫に含まれるウイルスは、その場所である程度感染力を保ち続けると考えられるが、清掃・消毒を行うことにより、ウイルスを含む飛沫を除去することができる。
(方法)
・ 通常の清掃に加えて、水と洗剤を用いて、特に机、ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、テーブル、椅子、エレベーターの押しボタン、トイレの流水レバー、便座等人がよく触れるところを拭き取り清掃する。頻度については、どの程度、患者が触れる可能性があるかによって検討するが、最低1日1回は行うことが望ましい。消毒や清掃を行った時間を記し、掲示する。
・ 従業員が発症し、その直前に職場で勤務していた場合には、当該従業員の机の周辺や触れた場所などの消毒剤による拭き取り清掃を行う。その際作業者は、必要に応じて市販の不織布製マスクや手袋を着用して消毒を行う。作業後は、流水・石鹸又は速乾性擦式消毒用アルコール製剤により手を洗う。清掃・消毒時に使用した作業着は洗濯、ブラシ、雑巾は、水で洗い、触れないようにする。
*食器・衣類・リネン
食器・衣類・リネンについては、洗浄・清掃を行う。衣類やリネンに患者由来の体液(血液、尿、便、喀痰、唾液等)が付着しており、洗濯等が不可能である場合は、当該箇所をアルコール製剤を用いて消毒する。
*壁、天井の清掃
患者由来の体液が明らかに付着していない場合、清掃の必要はない。患者由来の体液が付着している場合、当該箇所を広めに消毒する。
*床の清掃
患者が滞在した場所の床については、有機物にくるまれたウイルスの除去を行うために、濡れたモップ、雑巾による拭き取り清掃を行う。明らかに患者由来の体液が存在している箇所については、消毒を行う。
*事業所の周辺の地面(道路など)
人が手であまり触れない地面(道路など)の清掃は、必要性は低いと考えられる。

(消毒剤について)
・ インフルエンザウイルスには次亜塩素酸ナトリウム、イソプロパノールや消毒用エタノールなどが有効である。消毒剤の噴霧は、不完全な消毒やウイルスの舞い上がり、消毒実施者の健康被害につながる危険性もあるため、実施するべきではない。
*次亜塩素酸ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウムは、原液を希釈し、0.02~0.1w/v%(200~1,000ppm)の溶液、例えば塩素系漂白剤等を用いる。消毒液に浸したタオル、雑巾等による拭き取り消毒を行う、あるいは該当部分を消毒液に直接浸す。
*イソプロパノール又は消毒用エタノール
70v/v%イソプロパノール又は消毒用エタノールを十分に浸したタオル、ペーパータオル又は脱脂綿等を用いて拭き取り消毒を行う。

5)定期的なインフルエンザワクチンの接種
(目的)
・ 通常のインフルエンザの罹患者による医療機関の混乱防止
(効果)
・ 新型インフルエンザの発生時に、通常のインフルエンザに罹患し、自分が新型インフルエンザに感染したと誤解した者が発熱外来等を受診することで、医療機関において混乱が発生することが予想される。
・ 新型インフルエンザと区別がつきにくい通常のインフルエンザ等の発熱性の疾患については、予防接種を受けることで、流行時の発熱外来の混雑緩和にもつながる。
(方法)
・ 医療機関で通常のインフルエンザの予防接種を受ける。ただし、副反応のリスクも十分理解した上で接種を行う。

(3)感染防止策に有効な個人防護具と衛生用品
一般的な企業が新型インフルエンザの感染防止策として使用を検討する代表的な個人防護具は、マスク、手袋、ゴーグル等がある。感染防止策については、前述のように外出を控える、手洗いの励行といった方法を主にしながら個人防護具は補助的に用いる。個人防護具は、適正に使用しないと効果は十分には得られない点に留意する必要がある。

1)主な個人防護具について
一般的な企業において、新型インフルエンザの感染防止策として使用を検討する、マスク、手袋、ゴーグル、フェイスマスクの考え方を以下に示す。

  • マスク
    ・ 症状のある人がマスクを着用することによって、咳やくしゃみによる飛沫の拡散を防ぎ、感染拡大を防止できる。ただし、健康な人が日常生活においてマスクを着用することによる効果は現時点では十分な科学的根拠が得られていない。そのため、マスクによる防御効果を過信せず、お互いに距離をとるなど他の感染防止策を重視することが必要となる。やむを得ず、外出をして人混みに入る可能性がある場合には、マスクを着用することが一つの感染防止策と考えられる。
    ・ 一般的な企業の従事者においては、家庭用の不織布製のマスクを使用することが望まれる。マスクの装着に当たっては説明書をよく読み、正しく着用する。特に、顔の形に合っているかについて注意する。
    ・ マスクは表面に病原体が付着する可能性があるため、原則使い捨てとし(1日1枚程度)、捨てる場所や捨て方にも注意して、他の人が触れないようにする。
    ・ なお、家庭用の不織布製マスクは、新型インフルエンザ流行時の日常生活における使用においては、医療用の不織布製マスク(サージカルマスク)とほぼ同様の効果があると考えられる。
    ・ N95 マスク(防じんマスクDS2)のような密閉性の高いマスクは、日常生活での着用は想定されないが、新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者等に対して勧められている。事業者においても、新型インフルエンザの患者に接する可能性が高い者においては、使用が想定される。しかし、これらのマスクは、正しく着用できない場合は効果が十分に発揮されないため、あらかじめ着用の教育・訓練が必要となる。
    ・ マスクの使用の詳細については、別途、厚生労働省が定める。
  • 手袋
    ・新型インフルエンザウイルスは、手から直接感染するのではなく、手についたウイルスが口や鼻に触れることで感染する。つまり、手袋をしていても、手袋を着用した手で鼻や口を触っては感染対策にはならない。
    ・手袋着用の目的は、自分の手が汚れるのを防ぐためである。したがって、滅菌されている必要はなく、ゴム製の使い捨て手袋の使用が考えられる。手袋を外した後は、直ちに流水や消毒用アルコール製剤で手を洗う。
  • ゴーグル、フェイスマスク
    ・ ゴーグルやフェイスマスクは、眼の結膜からの感染を防ぐために着用が考えられる。ゴーグルは、直接的な感染だけでなく、不用意に眼を触ることを防ぐことで感染予防にもつながる。
    ・ しかし、ゴーグルは、すぐに曇ったり、長時間着用すると不快である。購入にあたっては、試着して従業員の意見をよく聞きながら選択する。
    ・ ゴーグルやフェイスマスクは、患者に接触する可能性が高い場所で必要になるため、一般の企業で使用する場はそれほど多くないと考えられる。

2) 個人防護具の購入

  • 個人防護具を購入するに当たっては、次のプロセスで行うことが望ましい。
    ・ 感染のリスクに応じた個人防護具を選択し、実際に使用する従業員の意見を聴取する。その際、個人防護具の密着性、快適性などについても考慮する。また、候補となる個人防護具は複数の型やサイズを選択する。
    ・ コストを評価する。管理面又は環境面の改善により個人防護具が不要となり全体として費用がかからないことがある。
    ・ 流行時に安定した供給が可能か確認する。
    ・ 個人防護具の選定を行ったら、個人に配付して一人一人の身体の形にあっているかを確認する。その際に正しい着用方法を指導する。個人にあったサイズを確認して、記録しておく。
    ・ 選択の際は、使用する時間を想定し、使用可能なものを選ぶ。

3)個人防護具の管理・教育

  • 個人防護具は自らを守るものであり、感染リスクがある場所に入る前に着用する。
    必要な場所ですぐに入手・使用できるよう、供給の管理者を決める必要がある。
  • 個人防護具は、定められた着用方法に従わなければ効果が十分には発揮されないため、説明書などを確認して適正に着用できるようにする。その際、個人防護具は着用により不快感も伴うため、時間が経つにつれ正確に着用されなくなる可能性もあることも含めて、教育・訓練を行う。さらに、新型インフルエンザ流行時には、感染に対する恐怖で不必要に個人防護具を使いすぎることの無いよう、適正に使用するよう教育なども行うことも考えられる。

4)個人防護具の廃棄

  • 個人防護具の着用時、廃棄や取り替えの時には、自らが感染したり、感染を拡大するおそれがあるため注意が必要である。
  • 基本的に、個人防護具は使い捨てであり、できる限り1日に1~2回は交換し、使用済みのものはすぐにゴミ箱に捨てる。
  • しかし、使い捨てはコストがかかる上、場合によっては個人防護具が不足する可能性もある。そのような状況では、使用時間を長くする、繰り返し使用することも検討する。
  • 全ての個人防護具を外した後には、個人防護具にウイルスがついている可能性もあるのですぐに手洗いや消毒用アルコール製剤による消毒を行う。また、廃棄場所を定め、その処分をする人の感染防止策についても十分に検討しておく必要がある。

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